2021年5月7日金曜日

【開催報告】SPart若手勉強会「患者中心の医療の方法 PCCM」2021.5.6

今回はさいたま市民医療センター内科の石川がお送りします!

今年度SPartの若手会は毎月第1木曜日の21時から

■専攻医&研修医の振り返り

■ベテラン&若手指導医のレクチャー 

の2本立てでお送りしていきます。オンラインでの勉強会、本当に便利です^^今回の参加人数は16名、専攻医8名、初期研修医3名でした。

家庭医療/総合診療専攻医の学びの場となるだけでなく、埼玉県内の横の繋がりができることで今後のキャリアプランを相談できたりするのがとっても楽しいです!持つべきは仲間ですね笑

ゆるーく、継続性のある会にしていきたいと思っていますのでぜひ埼玉にゆかりのあるベテランの先生方、研修医の先生、学生さんの参加をお待ちしています!

図1.
図1.
振り返りは2症例。研修医の先生、専攻医の先生から日々のもやもや症例を提示をしてもらいました。どちらも認知症や脳出血によって意思決定が困難な患者さんに対してどのように接していくかというテーマでした。病態の考察だけでなく、陰性感情の付き合い方やDifficult patientとの付き合い方、接遇のポイント、家族志向ケアの話など色々な話題がでて、学びが多い振り返りでした。色々な先生方の視点が入ることで学びが倍倍になっていく感じが振り返りをやっていてとても楽しいです!

レクチャー 今回は秩父市立病院の総合診療科、加藤寿先生に

「患者中心の医療の方法 PCCM」レクチャーをしていただきました。医師であれば、図1. にあるような場面はどなたでも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?そんな時、解決策の一つになるかもしれないのがこのPCCM(Patient Centered Clinical Method)なんですね。図2. にその全貌が書かれていますがブログにはその一部を紹介したいと思います。



図2.
「疾患」「病い」の違いを説明できますか??疾患は「生物医学的な構造や機能の不全」と言われるように客観的なものに対して、病いというのは「個々人が病気に関してもつ意味」すなわち「物語」です。能力の喪失や機能不全をめぐる人間的経験(human experience)とも言われます。ぼくらが「疾患」を診断し患者さんが「病い」を経験する。そこでぼくらが患者さんの「病い体験」に想いを馳せることが「患者中心の医療の方法」を体現する第一歩なのかもしれません。

図3.
では具体的にではどのように患者さんの「病い体験」を聴取すればいいでしょうか。図3. には具体的な質問方法も含めて書かれています。家庭医療を学ぶ上で欠かせない「か・き・か・え」通称「FIFE(feeling idea function expectation)」といわれるものです。これらの質問を義務のように聞くことが目的ではありません。コミュニケーションの中で自然に聞いていくことが大切です。疾患をみて治療するだけでなく、患者さんの想いに寄り添った医療ができると良いですね。


石川の個人的な感想

加藤先生の講義の中で一番印象に残ったのは、「健康」とはなんぞや?というお話です。1947年にWHO、世界保健機関が約70年以上も前に健康とは!って定義したわけなんですが、それ以降改訂はないんですね。

「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に
良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」
みたいな日本語訳なのですが、
例えば肺がんのある方で身寄りがいない孤独な人は健康ではないのか?
完全に良好な状態じゃない人は健康じゃない??難しい問題です。
人それぞれ「生きがい」や「健康観」「価値観」は異なるもので
一概に病気の有無やその重症度で健康かどうかを判断するのは難しい、、
みなさんどう思いますか??という加藤先生の問いは考えさせられました。
次回は6月3日、関越病院の田中先生による「障害とリハビリテーション」のレクチャーです!
乞うご期待^^
文責:さいたま市民医療センター内科 石川輝