2023年12月10日日曜日

【開催報告】2023.12.7 多様な診療の場に対応する能力 沖縄県立八重山病院 板垣健介先生

寒くなってきました。どうにかして暖かくしたい一心で沖縄より板垣先生に依頼しました。そして今回はじめての試みとして、総合診療専門研修の7つの資質・能力(コンピテシー)を取り扱うレクチャーを行なっております。神奈川→埼玉→兵庫→埼玉→沖縄と全国各地での診療経験を積んでいる板垣先生にしか話せない内容となっています。本日は途中参加を含め、初期研修医1名、後期専攻医5名、指導医4名、チャプレン1名(最後に改めて述べます!)の合計10名の方々に参加いただきました!以下、抜粋です。

★エントリー

(総合診療・家庭医療専攻医)7. 多様な診療の場に対応する能力(コンピテシー)

★概要

あまりに抽象的すぎて何が達成されたら目標に到達できるのか疑問でした。また、みなさん「コンピテシー」という言葉の意味は知っていますか?

医師のコンピテシーは、「知識、技能、価値観、態度などの複数の要素を統合した、医療専門家の観察可能な能力」、「患者個人と社会の利益のために、日々の実践において、コミュニケーション、知識、技術、臨床推論、情緒、価値観、振り返りを習慣的かつ思慮深く用いること」、つまり医師としての行動特性を指します。具体的な行動そのものに着目するのではなく、行動の基となる価値観や思考・性格などの要素を重要視する点が特徴です。

知識・スキル・コンピテシーの違いについて気管挿管を例に考えるとわかりやすいですね。

AIに聞いてみたシリーズ。多様な診療の場に対応する能力=多岐にわたる患者のニーズにこたえ、包括的で効果的な医療を提供するために必要な能力。画像にするとこうなるようです(イケメン・可愛いなど素晴らしい感想が飛び交いました)。

総合診療に進む人は必ず言われた?であろう言葉の数々には、この理由があったのかもしれません。中小規模の医療機関で研修をするのは、日本特有の事情かもしれませんね。

「多様な診療の場での診療の場に対応する能力」をコアと考え、どのような場にあっても残り6つのコンピテンシーを場のコンテキストにあわせて発揮することができる、他の6つのコンピテンシーが統合されて「多様な診療の場での診療の場に対応する能力」というコンピテンシーが成り立つのだと思います。 by 板垣健介(図・言葉ともに秀逸すぎて転載しています)


総合診療Ⅰ・家庭医療Ⅰで学ぶ医療機関は理想郷(コンピテシーの網羅性、臨床能力向上)。離島バージョンもあり。個人的には自分自身の見つめ直しの良い機会となってます…

★まとめ

その環境と人々が医師のコンピテンシーをつくり、その医師のコンピテンシーがその環境と人々を豊かにする by 板垣健介(秀逸すぎて再び転載しています)

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今年度もお世話になりました。来年度の予告ですが、最初からスパート(SPart)します!
昨年度大好評であった「関野チャプレン」に新年のご挨拶をいただきます!そもそもチャプレンって方はhttps://saitamaspart.blogspot.com/2023/02/2023.html をご覧ください。
★次回予告
2024年1月4日(木)20時〜
今年のテーマは「内的家族システム」について語っていただきます。当日来れないよ、って方はポスターが去年と4つ程度変わっていますので、それを見つけて脳トレとして活用ください。

2023年12月5日火曜日

【開催報告】SPartオンラインゆるトーク企画

オンラインで語れる場『SPartオンラインゆるトーク企画』第2弾の開催のご報告です。医学生2名、研修医1名、専攻医1名、指導医4名に参加いただきました。遠井先生よりOpeningがあったのち、各グループに分かれて熱い議論が交わされました。時はあっという間で、大塚先生によるClosingで会はお開きになりました。


投稿者も参加させていただきました、一部抜粋して内容をお伝えします(質問や回答についてはあくまで投稿者を介した表現のため不正確な部分があることをご了承ください)。

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Q. 最初から総合診療に進むべきなのか、一度専門研修へ進んでから戻ってくるべきか

A. どちらでも良い(そもそも以前はそういう選択肢自体なかったので)。マインドの問題!ゴールが決まっていれば、そこにどう辿り着くかは自由!もしいくつか寄り道をしたくて進路に困っているなら、自分が進んでいきたいことを最後にするといいかもしれない。

Q. アカデミックなキャリアについて

A. 研究も大学院もそうだが、自分がもう少し勉強したいと思ったら考える1つの選択肢。今はフェローシップも充実(CFMDフェローシップやHANDSなど)している。大学院はオンラインでも学べる!

Q. 院長になるのってどういう流れですか?

A. 詳しくはAntaaで!(2024年1月25日頃?)

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私個人の感想として、SPartは開業医の先生方を中心に構成されているのが、他の団体と違う大きな特徴だと思います。実際にクリニックなどのキャリアを考えている専攻医が多いプログラムであり、自分のキャリアモデルとなりうる先生方が多い恵まれた環境です。埼玉県にとどまらず他県の先生方もぜひ参加していただきたいな、と改めて思いました。宣伝頑張ります!!

★次回予告

【プレゼンター】板垣 健介先生
【略歴】さいたま市民医療センター総合診療内科専門研修卒業され、総合診療内科専門医(1期生)、現在は沖縄県立八重山病院に所属。
【対象者】総合診療・家庭医療の専攻医、離島医療に興味がある方、沖縄の話を聞いて寒さに打ち勝ちたい人など
参加 Zoom ミーティング
https://us02web.zoom.us/j/83549258154...
ミーティング ID: 835 4925 8154
パスコード: 819418 



2023年11月10日金曜日

【ご案内】SPartオンラインゆるトーク企画 12/2(土)開催します!

 好評につき! 第2弾開催です!!

大好評につき、埼玉県好きの皆さんに、オンラインで語れる場『SPartオンラインゆるトーク企画』第2弾の開催ご案内です。

これからのキャリアのこと、悩みや思いを語れる場になります。
埼玉県内の家庭医療/総合診療研修プログラムについてもご紹介できます。
埼玉県にゆかりのある方も、ない方も、ご興味ありましたら参加してください。

<開催要綱>
日時:2023年12月2日(土)20:30~21:30 (延長の可能性もあり!!)
参加方法:オンライン(Zoomミーティングを使用します)
参加費:無料
参加対象:埼玉県が好きなひと
・埼玉県にゆかりのある総合診療医 (専攻医、指導医)
・総合診療を志す研修医・学生さん など

   参加申込はこちらのフォームからお願いします。
    https://forms.gle/XwsDK5brL6Pvxdcv5    

ご参加お待ちしています!!



2023年11月7日火曜日

 

【開催報告】2023.11.2「女性に優しい医療機関になるために」平山陽子先生

 長い夏が終わりとうとう秋に突入してまいりました。朝夕の涼しい風が心地よくなってきました。

今回は研修先でお世話になっている鹿浜診療所の平山陽子先生ご講演を賜りました。

すべての家庭医が女性外来ができる世の中に!

というモットーを掲げていらっしゃり、診療所でいい意味で「ごく普通に」女性外来を実践されている姿は、家庭医の卵としては非常に憧れる存在でもあります。そんな平山先生から、女性外来のTipsをご教示いただきました!

明日からできる女性診療、挑戦していきたいですね!


★エントリー

(総合診療専攻医)例 1. 包括的統合アプローチ など

(家庭医療専攻医)19b. セクシュアルヘルス/性を考慮したケア

★概要




プライマリケア学会のセクシュアルヘルス委員会が提言している、「ジェネラリストの手はじめ12箇条」はご存知ですか?

内診台や膣鏡などなくても始められるとのこと、専門的な処置は不要、それでいて幅広く奥深い領域ですね。

この12箇条に沿って平山先生の実践をご紹介いただきました。

プライマリケア学会セクシュアルヘルス委員会↓

https://www.primarycare-japan.com/theme-detail.php?thid=


まずは雰囲気づくり・メッセージを受け取ってもらうことがスタートですね。
私も「なんとなく妊娠中・授乳中の投薬は控える!?」という認識でいましたが、
手元に信頼できる資料をいつでも参照できるようにさえしていれば、
正しい知識と根拠を持って、母親・赤ちゃんの診療ができますね。




「プレコンセプションケア」という言葉はご存知でしょうか?
女性やカップルたちの健康や、赤ちゃんへの健康について、妊娠前から介入できるケアのことです。妊娠するしないにかかわらず、性別にもかかわらず、大切なケアばかりですね。意識的にこれらに目を向け、アドバイスできることも、家庭医の大切な役割の一つですね。


月経のこと・性交渉や避妊のこと、家庭内暴力のことなど、
ちょっと聞きづらい・介入しにくいと思いがちな問題についても、
アンテアを張っていることで家庭医が介入できるチャンスがあります。
活用できるリソースなど知っておくことも重要です。




HPVワクチンについて、まだまだ普及が進んでいないのが現状です。地域の女性の健康に寄与する役割のある家庭医が、正しい知識を持って情報提供できることは大切だと学びました。


さらに、学校における性教育の不十分なところにも切り込んでいけるのが家庭医!確かに自分が小中高生の時に受けた性教育って、どこかぼんやりしていた気がします。平山先生は近隣の中学生に対して、性教育の一環として、性的同意についてのレクチャーや、困った状況に直面した場合にきちんと断れるように練習するワークショップなどをされたそうです。
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスアンドライツ SRHRについて考えることは、自分のことも大切な人のことも守ることに繋がりますね。



このように、家庭医における「すべての女性におけるあらゆる健康問題」に対してできるケアは無限大ということがわかりました。そのパートナーや家族や友人にも関わってくる、なんなら自分自身の健康問題の見直しもできる、まさに家庭医らしさを実感できるレクチャーでした。
普段の健診やワクチンなどの診療にも、活かせることがありそうです。明日から実践できるヒントばかりでした。
平山先生、ありがとうございました!!



2023年10月8日日曜日

【開催報告】2023.10.5「システムに基づく診療」田中政任先生

 9月まで暑かったのに、10月になったら急に寒くなってきました。私ははじめて稲🌾の花粉というものを経験し、鼻水が止まらない日々を過ごしております。それはさておき、本日はSPart若手会を牽引し続けている狭山厚生病院の田中政任先生に、「システムに基づく診療」についてレクチャーをお願いしました。研修医1名、専攻医2名、専門医・指導医2名の5名の方々に参加していただきました。以下に、内容抜粋していきたいと思います。

★エントリー

(総合診療専攻医)4. 連携重視のマネジメント

(家庭医療専攻医)13. システムに基づく診療

★概要

一度は読むルーブリック、でもいまいち何を書けばいいか掴めない、と感じます。「診療組織内のシステムの課題を分析」とは、具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。


「待ち時間」を例に考えてみましょう。まずは課題をあげ、そこに対する分析をします。その際の雰囲気は重要であり、多職種と問題意識を共有できているかや、改善意欲があるかどうかを理解しておくことも重要です(それが一番難しかったり…)。また、課題がわからないと精神論になることも多く、体系的・持続的な改善方法にならない可能性が高くなります。


ここでPDCAサイクルを回します。特にPlanが重要であり、今回の例でいう「待ち時間の短縮」を達成するために、モレやダブりがなるべくないように細分化しましょう!
MECEs:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive
・モレの部分が原因があった場合 → 原因がわからない
・ダブりの部分に原因があった場合 → どの原因にアプローチをしたらいいか不明瞭


実際に書き出す方法はKJ法が多いかもしれないが、モレなくできているかの把握がしづらい弱点があります。そこで紹介されたのがRCA(Root Cause Analysis)5回以上繰り返すと良いそうで、これによりどんどん階層構造を意識することができる利点があります。


KJ法やRCAで書き出したら、現実的に改善できそうで実行した時に得られるインパクトが大きいものを原因と仮定し、PDCAサイクルを回しましょう!仮定した原因と結果の両方をCheckし、Next stepに繋げたらPDCAサイクルをもう一周回せるかもしれません。


https://hospital.luke.ac.jp/about/graph/index.html
私たち専攻医ならでの目線もあるかもしれません。でも自分たちだけでは気づけない視点もあるかもしれない。ポートフォリオを書くという点では上記サイトが参考になります!

★まとめ


★次回予告
2023年11月2日(木)20時〜
鹿浜診療所 平山陽子 先生
(資格)プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医・指導医